爪の黒色変化はあまり珍しいことではなく、その原因はさまざまだ。「注意を要するのは、ほくろによる色の変化です」と話すのは、京都大学大学院医学研究科特定准教授で皮膚科専門の大塚篤司医師。爪にできるほくろには良性と悪性があって、悪性であるメラノーマ(悪性黒色腫)の場合、早期に発見して切除すれば治癒するが、治療が遅れれば命に関わるからだ。
▽縦線の変化を経過観察
爪にできるほくろには、爪甲色素線条(そうこうしきそせんじょう)という良性のものと、メラノーマという悪性のものがある。爪甲色素線条は、爪の付け根にある爪をつくる工場(爪母)に、色素を作る細胞が混入したため、生産される爪が黒く変化するもので、黒色の縦線が入った爪になる。いったんできれば、皮膚にできるほくろと同様に消えることはない。
一方のメラノーマも、初期の段階では、爪に黒色の縦線が現れるだけで、見た目は爪甲色素線条とそっくりだ。通常は長い期間をかけて悪性化していくので、両者を見分けるのは難しい。メラノーマと診断するには、局所麻酔下で爪母の一部を切り取って検査(生検)するしかない。しかし、爪母が切り取られた場所には爪が生えてこないため、爪の幅が狭くなるなど見栄えの問題が生じる。皮膚科で縦線の状態を定期的に経過観察しながら、メラノーマを疑う所見が見られるようになったら生検に踏み切るのが一般的だ。
▽自然消失後や外傷後も
ほくろの他に、爪の下の内出血や外傷、爪白癬(つめはくせん)や爪カンジダ症などのカビによっても、爪が黒く変化する。抗がん剤やミノマイシンという抗生物質、アジソン病などの内分泌疾患でも変色する。内出血であればダーモスコピーという皮膚科医用の虫眼鏡で観察すると、赤い成分が見えるので出血だとすぐに分かる。
▽自然消失後や外傷後も
ほくろの他に、爪の下の内出血や外傷、爪白癬(つめはくせん)や爪カンジダ症などのカビによっても、爪が黒く変化する。抗がん剤やミノマイシンという抗生物質、アジソン病などの内分泌疾患でも変色する。内出血であればダーモスコピーという皮膚科医用の虫眼鏡で観察すると、赤い成分が見えるので出血だとすぐに分かる。
げんせん: medical.jiji.com